お客様の声

製品導入事例/バックナンバー

これまでの導入実績

第60回 株式会社エステート・マガジン 社長 定山 様

第60回は、2010年の@dreamオブザイヤーでBestホームページ賞を受賞された、大阪市阿倍野区の「エステート・マガジン」様です。

梅田・難波に次ぐ大阪第三のターミナル都市としての顔を持ちながら、歴史と文教の薫りを色濃く残す街・阿倍野区。
そんな阿倍野区に特化し、取扱いのほとんどを同区の物件「のみ」に絞ることで、地域に密着したブランディングを見事に成功させている定山社長。
さらに特筆すべきは、@dreamユーザー様には珍しく、メールによる接客を多用していないにも関わらず、お客様からの絶大な信頼をつかみ取っておられます。

  • エステート・マガジン 社長 定山様

公式サイト http://es-maga.com/
所在地 大阪市営地下鉄御堂筋線 昭和町駅より徒歩2分
地図はこちら
取材日 2011年3月17日

なぜ不動産の世界で働こうと思われたのですか?

実は、もともとは先物取引の仕事をしていたのです。しかし、若かったせいもあり、特に深い理由や使命感があってのことではありませんでした。そのため、業界の体質的なことを知るにつれ、倫理的な疑問も多く感じるようになって…。そこで「もっと人に感謝されるような仕事がしたい」と思ったのがきっかけです。

独立開業された理由をお聞かせください。

「過程はどうあれ、売上の多い人間こそが偉い」-そういう価値観にずっと疑問を感じていました。確かに会社組織に属する以上、それはある程度仕方ないのかもしれません。ならば自分で開業するしかないと思ったのです。私は、私の信じる「正しいこと」をやろうと思いました。

「正しいこと」とはどんなことですか?

非常にシンプルです。お客様の喜びと、営業数字や会社側の都合を天秤にかけたとき、迷わずお客様を優先できること。「親・兄弟・親友に勧められない提案は、お客様にも勧めない」というのが、私の信条なのです。

街の雰囲気について ~便利で、かつ暮らしやすい。独特の多様性が人気~

  • 阿倍野区とはどんな街ですか?

    非常に多様性のある街です。北畠・帝塚山といった大阪市随一の高級住宅街を擁しながら、庶民的な下町も違和感なく同居しています。さらに、大型商業施設や高層タワーマンションが林立しているかと思えば、路面電車が走り、昭和の面影が残るノスタルジックな風景も広がっているんです。大阪市内でも非常に珍しいタイプの街だと思いますよ。

  • 不動産的視点から見るといかがですか?

    街の多様性もあって、老若男女問わずに人気のエリアです。大阪の大動脈ともいえる地下鉄御堂筋線をはじめ、JRや私鉄も乗り入れていますから、交通の便は抜群ですね。それなのに、静かな住環境も守られています。利便性と住環境とのバランスの良さが一番の魅力でしょう。さらに文教地区でもありますので、学校区も人気の要因になっています。本当に「何でもある」という印象ですね。

  • 住宅地の脇を、のどかに走る路面電車

  • 区中心部には、高層商業ビルも多数

お店について ~お客様が本当に知りたい情報を伝える“雑誌”のようなお店~

  • 不動産屋さんとしては、ちょっとユニークな社名でいらっしゃいますね。

    ありがとうございます。特に「マガジン」という言葉にこだわりがありました。会社員時代からずっと温めていたキーワードなんですよ。当時は今のようにネットを活用することは考えておらず、紙媒体で地域特化の不動産情報誌のようなものを作りたいと考えていたのです。お客様の情報源と言えばチラシが当たり前でしたから、もっと分かりやすく中立的な情報を発信できるマガジン、すなわち雑誌のような会社にしたかったんです。

  • 商圏を阿倍野区に絞っておられるそうですが、それはなぜですか?

    阿倍野区を選んだのは、学校区の良さなど、不動産的な魅力が大きかったからでした。しかし、商圏を絞り込んだのは仕事上のモットーを貫くためです。そのモットーとは、「こちらが何を望むのかではなく、お客様が何を望んでいるのかを意識すること」、そして「こちらが伝えたい情報ではなく、お客様が必要としている情報を提供すること」。そのためには、まず街や物件について誰よりも詳しくなること、つまり地域密着こそが不可欠だと考えました。

  • そのモットーは、耳が痛いと感じる不動産屋さんもいらっしゃるでしょうね。

    気持ちは分かります。売りたいがために、どうしても良いことばかり言おうとしてしまいますよね。しかし、本当にお客様が知りたいのは物件の「デメリット」です。それを営業トークでコントロールし、勝手なフィルターをかけてごまかす…いつまでもそんな商売をしていてはダメだと思うんです。お客様にとって本当に有益なこと、正しいことを正しく伝える、そういう不動産屋でありたいのです。

  • 地元・文の里商店街の一角にお店を構える

  • ため息が出るような「お屋敷」が建ち並ぶエリアも

お客様について ~いつも「不動産は急いで買うな」と伝える~

  • どのようなお客様が多いですか?

    地元の、いわゆる庶民層の方が中心ですね。一般的な年収層のサラリーマン家庭で、一戸建希望の方が約7割です。大阪市内でその年収層の方が一戸建を買うのはちょっと難しいのですが、阿倍野区は人気の街であるにも関わらず、それが可能な相場です。そこが魅力でもあるのでしょうね。また「賃貸なら他の街でもいいけど、買うなら阿倍野区で」と、Uターンして来られる方も多いですよ。

  • お客様に接する際、どのようなことに気をつけておられますか?

    やはり、自分が伝えたいことではなく、お客様が知りたい情報を提供すること。それが全てですね。もう少し細かく言うと、急かしたり押し込んだりしないということです。根気よく、お客様が納得するまで、とことんお付き合いします。本来、不動産は急いで買うべきではないのです。自社のホームページでも、その理由をコラム化して公開しています。

  • 「急いで買うな」とは、不動産屋さんとしてはなかなか言えない言葉ですよね。

    いまだに多くの不動産営業マンが口にする煽り文句があります。やれ金利が上がるだの、相場は底打ちだの、急がないとなくなるだの、希望の7割満たせば良しとしろだの…単に早く売りたいだけの、なんといかがわしい営業トークでしょうか。本当は、地道に探せば、無理なく買える理想の家は必ずあるのです。それを私が一緒に探す。当たり前の仕事をしているだけなんです。

  • しかし、中には理想が高すぎるお客様もいらっしゃいませんか?

    住まい選びに理想や夢を抱くのは当然ですから、最初はそれでいいのです。物件見学を続けていれば、「住みたいが買えない家」や「買えるが住みたくない家」がどんどん分かってきます。本当に必要な要素とそうでない要素が見えてきて「住みたいし、買える家」が何なのか、自然とブラッシュアップされます。それは妥協などではなく、真実に気付いたということ。つまり、本当の理想の家です。私たちは、とことんそれにお付き合いすれば良いだけだと思います。

  • 木のぬくもりを感じる接客スペース

@dream導入のきっかけ ~情報のデータベース化・可視化に驚嘆~

  • @dreamを導入されたきっかけを教えてください。

    リングアンドリンクさんの金丸社長の著書を読んだことが始まりでした。ホームページを作ろうと思ったのも、それがきっかけです。当時はネットどころか、パソコンもさほどアテにしていなかったため、「こんなことができるのか!すごいなあ」というのが最初の印象でしたね。平成19年5月に宅建業の免許を取得して、8月にホームページを開設、@dreamを導入したのは10月ごろだったと思います。

  • 操作などにはすぐ慣れましたか?

    いえ、恥ずかしながらいまだにパソコン関係は苦手なんです。幸い弊社スタッフには、そのエキスパートがおりまして、具体的なオペレートは彼女に任せています。しかし、運用の仕方やアイデアなどは、いつも一緒に考えながら、どんどんチャレンジしていますよ。

  • 具体的には、どのような点に惹かれたのですか?

    他のユーザーさんも多くの方がそうだと思いますが、やはり情報のデータベース化です。売り情報も買い情報も、すぐに目に見える形になりますからね。それともうひとつ、弊社にピッタリの魅力がありました。当初は紙媒体で行おうとしていた、社名にもある「マガジン(雑誌)」のことです。「@dreamを使えば、紙でなくてもホームページで再現できるのでは?」という可能性を感じたのです。

  • Bestホームページ賞の賞状。 並んだ蔵書からも、勉強熱心さがうかがえる

@dream導入後の変化 ~狩猟型から農耕型へと、営業スタイルが変化~

  • @dream導入以前は、やはりチラシ中心の集客だったのでしょうか?

    そうです。チラシのために、1ヶ月に30万円程度は投じていたと思います。確かに@dreamは廉価なソフトではありませんが、今思えば、その費用対効果の良さはチラシとは比べ物になりません。

  • 導入したことで、どのような変化がありましたか?

    抽象的な言い方ですが、会社の営業スタイルが「農耕型」になりました。例えば、チラシを打つというのは、いわばお客様への「ワナ」です。設置しておいて捕まえるという、狩猟型の集客。
    対して@dreamを活用するのは、ホームページという畑の中でお客様を育てている、農業のような感じです。ホームページを見ているうちに、お客様のほうから買いたくなってくるイメージ。それは、私の仕事への理念とも非常に相性の良い営業スタイルでした。

  • その「農耕型」営業スタイルによって、お客様層の変化などは見られましたか?

    年齢や家族構成など、お客様の「層」自体には変化はありません。しかし、お客様の「物件の探し方」は変わったと思います。ホームページを見ていきなり物件の問い合わせ、といったパターンは少なくなりましたね。だいたいそれでは、チラシと一緒です。そうではなく、希望物件は未定ながら不動産選びのコンサルとして弊社を選び、相談してくる…というニュアンスが強くなったと感じます。

  • 具体的な効果として感じることはありますか?

    会員として登録してくださるお客様が、約3倍にまで跳ね上がりました。もちろん、その全てが今すぐ家を欲しているわけではありません。いわばストック的な見方になるのですが、私はそれで構わないと思っています。長期的視野でお付き合いするという弊社の営業スタイルにとっては、そのほうが良いくらいですよ。ホームページへのアクセス数自体も、以前は1日30~40件程度だったのが90件ほどにまでアップしました。阿倍野区特化というミクロな商圏としては、なかなかの数値だと思います。

  • マーケティング論からWEBデザインまで、 研究に余念がない

@dreamを活かしたホームページ作り ~常に最新・最善の状態を作る~

  • @dreamの性能を活かす上で、どのようなホームページ作りを心がけましたか?

    最も大事にしたのは情報の更新頻度です。当たり前ですが、お客様は最新情報を知りたいもの。すでに契約済の物件をいつまでも掲載したりしないように心がけました。昔に比べ、お客様は情報の量ではなく質を求め出しているのではないかと思うからです。

  • ホームページ自体も、頻繁に改良されているそうですね。

    見せ方を考えて、常に発展させていくことが大事と思います。アクセス結果を分析して、ページビューの高いページ、すなわちお客様からの関心の高いコンテンツはどんどん前に、そうでないコンテンツは後ろに回して行くなどの工夫をしています。

  • 物件情報の載せ方についてはどうですか?

    私は、写真の量を大事にしています。その根底にあるのは「都合の悪いことを隠さない」という発想です。道路付けや障害物の有無など、アングルでごまかしてキレイに見せようとはしません。どのみち現地に案内すれば分かることなのですから、「まず集客ありきでとりあえず欠点は隠し、後はどうにか押し込んでしまえ」なんて失礼な考えは捨てるべきだと思います。

  • その他に、気をつけておられることなどはありますか?

    ホームページへの滞在時間ですね。訪れた人に、どれだけ長く見てもらえて、どれだけ弊社に興味を持っていただけるか。アクセス数よりも、そちらのほうを大事にしています。まだまだ課題も多いですが、コンテンツをさらに充実させ、ホームページをバーチャルなサロンのような存在にすることで、その効果を高めて行きたいと思っています。

  • 現在も進化中。 工夫を重ねたホームページ

  • 豊富な写真と詳細地図が 掲載された物件情報ページ

ホームページコンテンツの工夫・その1 ~隠したいことほど、正直に伝える~

  • ホームページ同様、やはりメールでの接客も工夫しておられるのですか?

    いえ、そうでもありません。この点においては、他のユーザーさんと弊社はかなり異なると思います。決してメールに無頓着ということはありませんが、それを通じて少しずつ関係を築き、ご来店に繋げるという手法ではありませんね。@dreamの王道スタイルからは外れてくるのでしょうが。

  • では、どうやってお客様と初期のコミュニケーションを取るのですか?

    他のユーザーさんたちがメールを大事にされるのは、お客様との信頼関係構築という要素が強いと思います。担当営業マンである自分がどんな人間で、自社がいかに誠実な会社であるかをご理解いただくためですよね。弊社はそれを、ホームページでやってしまっているのだと思います。

  • 実際にどんなことをされているのですか?

    基本は、先ほどから申し上げている私の信条をお伝えしているだけです。我々が何を望むかではなく、お客様が何を望んでいるかを考えること。それに基づいた情報を提供すること。親・兄弟・親友に勧められない提案は、お客様にもしない。本当にそれだけです。ただ大事なのは、それを具体的に示すことでしょうか。

  • 例えばそれは、どんなことですか?

    いわゆる「普通の不動産屋」が言いたがらない、隠したがるようなことほど、どんどん載せるようにしました。例えば、先ほど言いましたような「不動産は急いで買うな」といったコラムがそうです。他にも「“売る”を鍛える不動産の売却トレーニング」と称したコラムもあります。そこでは、不動産屋なら喉から手が出るほど欲しい「専属専任媒介契約」もバッサリ斬って、はっきり「やめておきなさい」と断言していますよ。

  • その姿勢が、お客様からの信頼につながるのですね。

    そう思っています。強いて「仕掛け」的な面を挙げるとすれば、より詳しい情報を読んでいただくには会員登録をしてください、という仕組みにしていることです。お客様は、会員限定記事を読みたくて、より詳しい不動産選びのコンサルを受けたくて、会員登録してくださるわけです。

  • そこが「マガジン」たる強みでもあるわけですね。

    はい。これがまさしく、私が@dreamを使って作りたかったシステムなのです。大抵の場合、会員登録を促すには「会員限定の物件情報」を売り物にするのだと思います。それもひとつの方法であることは確かですが、それではチラシと大差ないと思うのです。「こんな物件がありますよ、買いますか、買いませんか?」と言っているのと同じでしょう?そうではなく「あなたにとって最高の家探しを、一緒にやって行きましょう」というコンサルとしての性格を、ホームページに持たせたわけです。

  • 読み応えある情報満載で、 まさしく雑誌のようなホームページコンテンツ

ホームページコンテンツの工夫・その2 ~もっと双方向性を深めたい~

  • 他に、御社ホームページ独特のコンテンツなどはありますか?

    例えば、私の自己紹介は当然しっかり掲載し、信念もちゃんと伝えています。他にも、自己資金10万円からの資金計画マニュアルや、自分の最適物件が分かる診断チャートなど、コンテンツは非常に豊富だと思いますよ。さらに、弊社が店を構える「文の里商店街」のサイト制作を請け負って、相互リンクもしているんです。そうやって、さらに地域への密着度を高めることも大事にしています。

  • 今後、さらに改良を加えるとすればどのような点でしょう?

    せっかくネットを使うのですから、もっとお客様との双方向性を高めたいですね。例えば、物件情報へのアクセスランキングで人気物件が分かったり、お客様同士の交流ができたり。SNS的な要素を持たせたいなと思っています。

  • 「ごあいさつ」と称したページ。 写真も入れて真摯な思いを伝える

これからの展望 ~ホームページとは、育てるもの~

  • ネット世界の不動産業は、今後どうなって行くと思われますか?

    かつては、不動産業者が持っている情報量が仮に「10」だとすると、お客様は「3~4」くらいではなかったかと感じます。例えばお客様に「もっといい物件はないの?」と聞かれても「ありません」と言ってしまえば良かったのです。そして、自分が売りたい物件を売りたいときに売る…もう、そんなやり方は通用しないと思います。

  • すると、お客様も「10」の情報を持っていると考えたほうが良いのですね。

    そうでしょうね。ネットでいくらでも検索できますから。だから私は言っているのです。都合の悪いことを隠すなと。そういう、やましい考えを捨てられるかどうかが生き残りの鍵だと思います。ただし、良き人間であるだけではダメです。実際にお客様からそう思っていただけてこそ、意味があります。それを担うのがホームページなのです。そういう、ホームページ上でのパーソナルブランディングが重要な時代になるのではないでしょうか。

  • これからの@dreamユーザーさんに助言を。

    チラシは配布すれば終わりですが、ホームページは違います。育てるものです。まるで自分の部下として、ひとりの営業マンを育てるように。常に改良を加えながら試行錯誤を続けることが大事と思いますよ。

  • 最後に、目標や展望をお聞かせください。

    地域密着が弊社の土台ですから、やはりこの街について一番詳しい人間になりたいですね。「歩く阿倍野事典」みたいな。阿倍野区不動産のカリスマを目指しますよ!

  • 商店街イベントにも積極的に協力。 これからも街の一員として

会社名 株式会社エステート・マガジン
住所 〒545-0011
大阪府大阪市阿倍野区昭和町1-20-22
TEL 06-6627-2103
FAX 06-6627-2130
お問合せ先 es-maga@grace.ocn.ne.jp
公式サイト http://es-maga.com/

インタビューを終えて

街の不動産屋さんには欠かせないパーソナルブランディングですが、それは何も、メールだけがその手段の全てではありませんよね。「@dreamはこう使うべき」などというマニュアルはないのだ、という新しい発見にもなりました。
不動産を探しておられるお客様にとって「何を買うか」は確かに大事。
しかし今後はそれだけでなく「誰から買うか」も欠かせない要素になるのかも知れませんね。
信念の人・定山社長の目指す「正しい」不動産業のあり方は、まさしく人としての正義。
業界全体がその矜持を持って進んで行けたら、不動産の世界はもっともっとクリーンで明るいものになるのではないでしょうか。

 

(取材、撮影、編集、文章 : 物語ライティング )