製品導入事例/バックナンバー
第82回は、山梨県富士吉田市の「株式会社フロンティア技研」様です。
最寄駅は富士急行線富士急ハイランド駅。ひとつ手前は富士山駅で、一駅先は河口湖駅という世界的な観光地です。
「富士吉田市の人口は5万人ちょっとで、お隣の河口湖町が2万人ちょっと。小さな町なんです」とおっしゃる三浦勝様。フロンティア技研様のウェブを一手に担当され、洗練されたデザイン、必要な情報はすべて網羅されている緻密なホームページを作られています。2012年の@dream of the yearで@dream-masterにも選出されたそのアイデアの数々をお聞きしました。
株式会社フロンティア技研 三浦 勝 様
公式サイト | http://www.v-frontier.com/ |
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所在地 |
富士急行線富士急ハイランド駅より徒歩3分 地図はこちら |
取材日 | 2013年2月22日 |
「フロンティア技研」とは、不動産業らしくない社名ですね。
昭和44年に父が創業した時は、機械屋でした。社名だけでなく、お店の外観も、当時は倉庫だった両隣のスペースにも鉄骨が見えたりして名残がありますよ。初めての方は「不動産屋さんですよね?」ってちょっと不安そうに入ってこられる方もいます。
あの商談スペースは倉庫だったんですか?
はい。自分たちで作りました。もともと機械屋ですから、そういうことは得意なんです。 チラシを置いている白いラックも発注したらウン万円と言われたので、兄が材料費5000円で作りました。チラシのディスプレイも、100円ショップの素材を駆使しています。できるだけコストはかけず、何でも自分たちで作ります。
商談スペース。ミニチュアのテラスハウスは 2階部分がはずれ、室内も見ることができる
チーフはこちらのご出身ですか?
はい、中学卒業まではこちらにいました。高校から親元を離れ甲府、大学は神奈川、就職は東京と引越が多く、不動産屋と縁のある人生です。
弊社は兄が入社したころから不動産業に力を入れて、2005年に@dreamを導入しました。私がまだいないころの話なので、兄からさせていただきますね。
お兄様、三浦大様はどうして不動産業に?
専務 三浦大様:
私は大学卒業後、建築業を経て、こちらに戻ってきました。弊社は創業時から不動産業に携わってはいたのですが、のんびりしたもので…。当時は自社物件がそこそこ埋まっていればヨシという状況でした。とはいえ私も若かったので、不動産業をもっとがんばるために「何かないか?」と探していて、宅建協会が勧める金丸社長のセミナーを聞いたのです。内容もご本人もインパクトがあったし同郷だと聞いて、あまり深く研究せずにすぐ導入を決めました。
導入に反対などはありませんでしたか?
専務 三浦大様:
社長は機械畑の古い世代ですから、ハードではなくソフトにお金をかけることには反対でしたね。それを押し切っての高い投資ですから、「導入したからには!」と必死で運用しましたよ。
導入のころの作業はお一人で?
専務 三浦大様:
そうです。とにかく物件情報の入力ですよね。すべての物件に、間取り図と写真を入れていきました。当時は扱っている物件が50~60件だったので、私ひとりでなんとかなりましたが、@dream導入後は紹介が紹介を呼んで物件数がどんどん増えて、従業員を増やしたり弟に戻ってもらったり。
そのころのホームページは、今、考えると恥ずかしい代物ですが、それでもこの地域のナンバーワンホームページだったんですよ。
@dreamを導入する前と後とで決定的に違うことってなんですか?
専務 三浦大様:
成約率があがりましたね。導入前の成約率は恥ずかしながら、10%くらいでした。お問い合わせが10件あっても1件しか決まりません。今ではお問い合わせ3件に1件はご成約いただけるので、成約率は3倍以上です。
それに導入前は事前情報が少なかったこともあり、お客様が気になった物件はすべてご案内していました。10軒ご案内して決まらないってことも…。今ではネットを見て絞り込んでからお見えになるので、実際にご覧になるのは2~3軒。それで決めていただけるので、スタッフの労力は相当違いますよね。
では、@dreamとはいい出会いでしたね。
専務 三浦大様:
よく「1歩先行く会社が勝つ。100歩先じゃダメ」っていいますよね。弊社が@dreamと出会ったのが、ちょうどそういう時期だったんでしょう。当時、私は一生懸命にやる指針を探していた。だからどんなソフトであっても、がんばったと思います。
最近、ほかのソフトと比較検討してみましたが、物件と顧客の管理能力は@dreamが抜群ですね。あのころ、がんばった方向性は間違ってなかった。本当に、いい出会いでした。
最寄りの富士急ハイランド駅。
改札を出て5歩で富士急ハイランド
左から2人目の専務、三浦大様いわく「最強の実働部隊です」
チーフは東京で就職されていて、こちらに戻ってこられたんですよね。
はい。東京では投資目的の不動産を販売する会社に勤めていました。夜遅くまで、休みもほとんどなく働くのが当たり前だったので、こちらで定時に帰れる生活にはものすごいギャップを感じましたね。
同じ不動産業とはいえ、まったく違う業態なのですが…。まずは電話で、いかに話を聞いていただくか、最初の30秒で切られないための話題などいろいろ考えました。それが今「かじって風水」や「ちょこっとスマホページ」などキャッチコピーを作るときに役立っています。
そのころのホームページはどんなものでしたか?
初期の@dreamユーザーにありがちなものでした。内容は充実していた方がいいし、同じ内容なら見た目がいい方がいい。「格好よくしたい」と思いましたよ。私はウェブ担当ですので、ドンドン改革していきました。
もともと、私は面倒くさがりなんです。お客様にもそういう方、多いと思います。だから私自身も、営業スタッフも、もちろんお客様にも、面倒くさくないホームページにしようと考えています。
「面倒くさくない」とは、たとえばどんなことですか?
たとえば物件情報の賃貸料についても、@dreamでは賃貸料そのものは大きく見えますが、実質的にはこれに共益費や駐車場代、この地域にはCATV費用などもあって、それらの合計が毎月必要です。「結局、いくらなの?」ってお客様の前でスタッフがその都度計算するのは面倒ですし、お客様をお待たせしてしまいます。ですので、私が全物件、あらかじめ計算して掲載しています。
また、これは入居時にだけ必要な金額なのか、1年に1度払うのか、毎月の費用なのか、項目だけではよくわかりませんよね。だから細かいのですが、【 】は入居時にだけ必要な費用、≪ ≫なら1年に1度、[ ]は…とルールを決めています。全物件が統一ルールで記載されているので、パッとわかり面倒なことはありません。
なるほど。ほかにもありますか?
弊社は@dream2000を使っているので、写真は各物件に20枚掲載できます。ですが、それは写真1、写真2…であり、タイトルを変更することはできません。そこで写真1は外観、2はリビング、3はキッチン、4はお風呂、5はトイレなどと、ここでもルールを決めています。キッチンを見たいときは、どの物件でも写真3を開けばいいんです。「あれ、どこだっけ?」では「面倒だからもういいや」ってなりがちですよね。それじゃダメなんです。
よくわかりますが、チーフはかなり面倒な作業ですよね?
私自身も先にルールを決めて、それに従って作業した方が迷わずに済みます。
ただ、途中でアイデアを思いつき、新たにルールを加えようというときは全部やり直しですから、かなり大変です。そうならないように、できるだけ初めからわかりやすいルールを作っておきたいと思っています。
御社のホームページは、情報量やリンクの多さもずば抜けていますね。
必要なものはすべて揃えておこうと思っています。弊社はわかりづらい場所にあるのでアクセス案内は特に詳しく、「動け!道案内」という動画も入れています。「昨日行ったけどお休みでしたね」なんてことにならないように弊社の休日カレンダー。申込書は「お越しいただかなくてもダウンロードできますよ」と言えますし、念のためAdobeソフトの無料ダウンロード先も。スタッフの顔写真はもちろん、動画まで掲載しています。現地待ち合わせのとき困らないように、社用車も紹介しています。「保証人の生年月日、西暦で何年だっけ?」ってときには「西暦年号早見表」がほしいし、郵便番号がわからないってこともありますよね。あのとき欲しかった情報は、すべて必要なんです。
デザイン会社のようなセンスのいいホームページ。 「中央の動画も毎日更新します」
たくさんのアイデアが盛り込まれたホームページですが、そのヒントはどこから?
いろんなところから、ですね。デザインは不動産業者に限らず、あらゆる業種を参考にします。先日もある旅行会社のチラシを見て、日付の書き方が格好いいなと思って、数字のフォントを真似してみました。「いいな」と思うものはすべて取り入れます。それも自社に合わせるにはどうすればよいか、プラスαを考えながら。
デザイン的なことだけじゃなく、ですか?
はい。@dreamの交流会などでもヒントをたくさんいただきます。たとえば「物件のいい点も悪い点も書く」のは「いいな」と思いましたが、「全部書いたらオーナーさんから何か言われそう」です。そこでどうすれば取り入れられるかと考えて「マスコットを使おう!」と思いつきました。ゆるキャラ、ロンティーのひと言調査報告なら角も立たず、情報も盛り込めるかなって。
また@dream-Progreには鍵のかかるページがありますよね。多くの方は希望条件登録をされた方だけに見える非公開物件のページとしてお使いのようですが、こちらの地域では非公開物件がほとんどありません。ですがこの鍵つきページなら、賃料が減額になった物件情報を入居者に知られず掲載できるなと。今では希望条件登録の強力な動機づけにもなっています。でも弊社はまだ@dream2000を使っているので、鍵つきページは自分で作りました。
様々な手法を駆使されていますが、チーフはもともとパソコンが得意だったのですか?
いえ、まったく。東京のころは、エクセルで文書くらいは作れましたが、イラストレーターもフォトショップも使ったことはありません。「SEOって何のことやら?」でした。
必要に迫られて本を読み、ここまでやって来ました。ですから、希望条件登録が「カンタンすぐ」と書かれていても、よくわからないから「面倒くさそう」と入力しない、その気持ちがよくわかります。本当は簡単なのに。なら、その過程を前もって見せる。ソフトをダウンロードするとき、手順がすべて図解されているように、ここをクリックしたらこんな画面が出てきて、ここに名前を書くだけですよって図を見せる。そして「簡単だね」と実感してもらえれば、登録数も増えるんじゃないかと。
ゆるキャラ、ロンティー。チーフが描いたイラストを妹さんが制作。 物件の調査報告やブログネタ「今週のロンティー」 など大忙しのマスコット
SNSも活用されているようですね。
はい、お客様はどこに引っかかりを持たれるかわかりませんから、全部やっています。ポータルサイトもまだやめられなくて…。ただこれも、ルールを決めていろいろと連動させて運用しています。
たとえばブログはもう4年以上、毎日更新しているのですが、曜日ごとに何を書くかおおまかに決めています。毎日、物件情報では面白くないので、週初めは不動産クイズ。クイズは昨年、毎週1問、1年間で60問近く考えました。今年は「不動産クイズリターンズ」と銘打って、去年とほぼ同じ内容のまま出題しています。週の半ばには「今週のロンティー」。ペットネタがないので、ロンティーに登場願っています。それから、毎月1度は「今月の富士山」を。このカテゴリーだけを見ると冠雪の変化がよくわかりますよ。趣味のこと、ガンダムネタやカプラという積み木細工などもすごいですよ。そして週末前には「物件情報」ですね。
ツイッターでは地域情報をつぶやいています。地元に根差した不動産屋ならではの情報です。フロンティア技研のフェイスブックページも作りました。最近はスマホユーザーが多いので、スマホ専用ページも作りました。これは無料で作れる範囲でしかやっていないので、「ちょこっとスマホページ」です。
それに週末のご来店を増やしたいので、木曜か金曜には毎週メルマガも発行しています。メルマガは新たな内容ではなく、ブログに書いた不動産クイズ、ツイッターでつぶやいた地域情報、そして今週のイチオシ物件を整理して掲載しています。いろいろ使い回ししながら、情報発信を続けているのです。
ウェブやSNSだけでも相当な仕事量ですが、それ以外は…?
私を入れて実働部隊は4人ですから、お客様対応もしますよ。それに、今後の方針やキャンペーンなどを考えるのはみんなで、わいわい言いながら考えます。
以前の「ご紹介キャンペーン」は1万円の賞品をずらっと並べていたのですが、今年は2万円の旅行券から1000円台のものまで値段の違う10賞品のガラガラくじにしました。全賞品が同じ確率で当たるのですが、2万円のインパクトも持たせつつ、平均単価を6500円に下げることができました。賞品コンセプトは「自分では買わないけれど、もらったらうれしいもの」。選ぶのもワイワイがやがや、大変です。
皆さんの会議、楽しそうですね。
そうですね。アイデアを出し合うのは難しいけれど、楽しいですね。お客様アンケートなどもすぐに取り入れます。あちこちからいろんなアイデアを集め、ルールを作るんです。
それはとても細かい話で言えば、商談スペースのラックにあるチラシ。ハードホルダーの上部と左側に2カ所ビニールテープが貼ってあります。このテープは、地域ごとに色分けされたもの、たとえば富士吉田市は赤、河口湖町は青などが左に、部屋数別の1LDKまでは緑、2K~2LDKまでは黄色、3K以上はオレンジが上に貼ってあるんです。お客様がご覧になった後、そのテープの色を上下左右あわせれば、チラシの整理整頓はすぐにできます。ルールはすべて、後々楽をするためにあるんです。
手作りのキッズルーム。おもちゃやぬいぐるみも少しずつ増えた
ステキなホームページですが、満足されていますか?
いやあ、まだまだです。もっと改造したいところはたくさんありますよ。ホームページの中央に今はコマ―シャライザーというサービスを利用した動画を載せているのですが、これが2013年3月でサービス終了になります。その後は、何か効果的な動画をと考えています。
「不動産屋らしくない」とも言われるので、もう少し、らしくしようかなとも思いますし、物件の一発検索ももっとカテゴリーを増やしたい。スタッフ紹介もやり直したいし。
先ほど、写真番号のルールについてお話ししましたが、同じような趣旨で動画についても考えていることがあるんです。たとえば3DKの物件だと5~6分ほどの動画を、1度は全部ご覧になるとしても、「キッチンだけもう1度見たい」ときに何分何秒からキッチンの映像が始まるか、お風呂はいつからか…わかれば便利ですよね。
1つのことが終わる前に新しいアイデアが出てくるので、満足することはありません。
目指すところが高いですね…。ところで、チーフの目標ってなんですか?
会社として常に、前年の110%が目標です。ホームページのアクセス数、ページビュー、売上、契約数、メールや電話・ご来店も含めた全問い合わせで割った契約率。これらすべてで前年110%アップを目指します。昨年は契約率のみが未達成。109.7%だったので、前年を上回ってはいますが目標は達成できませんでした。
前年の120%の力を出せば、110%の達成は当然だと思っています。
チーフはウェブ担当ですよね? 契約率は営業さんの担当ではありませんか?
いえ、それは違います。物件写真の多さや動画のあるなしで契約率が変わるのは皆さんご存知の通りです。とすると、ホームページの見せ方を変えれば、契約率も変わる、私にも大きな責任があるということです。つまり目標としているものは、フロンティア技研が一丸となって目指すものなんです。
それと…、売上などに景気は関係ないと考えています。不景気なら、それなりの商売の仕方を考える、それが仕事です。そしてゴールはありません。時代は進みますから、何もしないということは退化しているのと同じ。ずっと進み続けていかなくては!
富士急ハイランドの向こうに富士山。 この景色が毎日あるのは、なんともうらやましい
会社名 | 株式会社フロンティア技研 |
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住所 | 〒403-0011 山梨県富士吉田市新倉2611 |
TEL | 0555-23-1181 |
FAX | 0555-23-1182 |
お問合せ先 | info@v-frontier.com |
公式サイト | http://www.v-frontier.com/ |
インタビューを終えて
甘いマスクで「面倒くさがりなんです」を繰り返すチーフ三浦様。いえいえ、相当煩雑な作業を毎日大量にこなしてらっしゃいます。「わけわかりませんよ」などと笑いながら、その実、ご自身の仕事もきちんとしたルールのもと、理路整然と仕分けされているのでしょう。だから量が多くても、毎日パニックにならず、淡々と粛々と進めていけるのだと思います。
「今すぐマネをしろ」と言われても、私はスタート地点にさえ立てません。でも、ココだけ、この考え方だけ、ヒントとして頂戴するなら…。取材後、出たとこ勝負の場当たり的な私自身を反省しました。
フロンティア技研様はきっとこれからも、前年110%アップを常に目指しながら、和気あいあいと進まれるのでしょう。そこには前時代の不動産屋にありがちな殺伐とした雰囲気はかけらもありませんでした。
(取材、撮影、編集、文章 : 物語ライティング )