製品導入事例/バックナンバー
第108回は、東京都豊島区をメインに、不動産売買・賃貸の仲介、不動産買取、賃貸不動産の管理・募集、不動産コンサルティング業務を営まれている「有限会社蕪樹地所」様のご登場です。
大手ハウスメーカーで経験を積んできた蕪木社長は、独立以来、地域における不動産業者の役割を自身に問い続けてきました。
椎名町三代目として地域発展に全力を尽くしてきた蕪木社長の心温まるヒューマンドラマをご紹介します。
有限会社蕪樹地所 蕪木 豊樹 様
公式サイト | http://www.kabujisyo.co.jp |
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所在地 |
西武池袋線「椎名町」駅より徒歩4分 有楽町線「要町」駅より徒歩10分 地図はこちら |
取材日 | 2015年11月6日 |
まずは、不動産業界に入られたきっかけから教えてください。
ここ椎名町で不動産屋を営んでいた父の影響もあって、学生時代から不動産業界に進むことは自然と意識していました。将来は、自分の思い描く不動産屋を自分の手で始めたいという想いが強かったので、大学を卒業したのちは、修行に出るつもりで大手ハウスメーカーに就職しました。
ハウスメーカーで思っていた通りの経験は得られましたか?
実りは多かったと思います。ハウスメーカーの営業マンは、用地の取得や商談、施工、引渡しと、家づくりにおけるすべての工程に全般的に関わることができますから、不動産業の基礎を築くという意味ではこの上ない環境だったと思います。
また、皆さんもご存じのように、年齢も経験も学歴も関係なく誰もが上を目指せる業界です。頑張れば頑張った分だけ認めてもらえるのは大きなやりがいでした。20代半ばには住宅展示場の店長まで任せてもらえて、経営を学べた貴重な期間だったと思います。
20代で店長とはすごいですね。営業活動で何か工夫されていたことはあるのですか?
当時、私が担当していたエリアは東京近郊の工業地域です。東京とは逆で、もともと土地が安く、土地よりも家にお金をかけたいという人がほとんどなんですね。そうなると土地を持っていない人は、まず土地から探さなくてはいけません。ところが地元の不動産屋には相談しづらい。そこで私は、両者をつなぐ仲介役になろうと思ったわけです。
地元の不動産屋さんからすれば、大手ハウスメーカーの看板を背負った社員が代わりに営業してくれるので助かりますし、お客様からすれば、プロが条件の良い土地を探してきてくれるので安心していただけます。お客様の多くは「土地を紹介してくれたなら家もお願いします」と言ってくださり、その結果として、店長を任せてもらえるだけの成果をあげることができました。
そんな行動ができたのは、いずれ独立して成功しようという野心に燃えていたからですか?
いや、人に喜んでもらえることが純粋にうれしかっただけですよ(笑)。
努力を認めてくれる環境で、上司や同僚も気の良い人ばかり。何よりハウスメーカーの仕事が楽しかったので、このまま続けたいという気持ちもありました。
ただ、店長として低迷していた店舗をV字回復させたという一つの成果が残すことができたので、これを契機に本来の自分の夢に挑戦しようと覚悟を決めました。
事務所の2階には
明るくて居心地の良い応接室
「蕪樹地所」という社名の由来について教えてください。
蕪木の「蕪」と豊樹の「樹」をくっつけただけのシンプルなネーミングです。
というのもここ椎名町は、父の不動産屋がある上に、祖父が戦前から魚屋を営んでいた土地でもあります。ですから、昔からこの地域に住んでいる人は「かぶらぎ」と聞けば、蕪木の息子か孫かと分かってくれるんですね。父には「お前が本家みたいな名前つけやがって」と呆れられましたが(笑)。
創業に描いた理想の通り、進んでこられましたか?
まさか、こんなにこぢんまりやっているとは思ってもいませんでしたね。
スタート当初は、椎名町、池袋、目白、要町、千川、東長崎、落合南長崎と、当社を囲む7つの駅にそれぞれ1店舗ずつ支店を出せたらいいなと漠然と思っていました。
ところが、やっていくうちに理想と現実の相違を感じるようになります。それは何も理想が高過ぎたという意味ではなく、むしろ逆により細かくエリアを絞っていかないと、街の不動産屋としての存在意義が薄れてしまうように思えてきたのです。極端に言えば、「○○町一丁目」だけに絞るくらいのイメージでしょうか。
「街の不動産屋さん」の存在意義とは?
ひと昔前までは、店頭の看板で良さそうな物件を見つけたらとりあえず店内に入って話を聞くといった流れが一般的でした。ところが今はインターネットで物件を探す時代。たとえ、看板で物件を見つけても店内には入らず、インターネットでその物件を取り扱っている店を探し当て、値段を比べて安い方を選択する。もっと言えば、売り主・貸し主に直接問い合わせて契約した方が仲介手数料を支払わずに済むわけです。そうなると、不動産仲介業者は要らなくなってしまいますよね。
しかし、これはお客様が大きなリスクを抱えることにもつながります。売り主が良心的な方ならいいのですが、そうでない場合は逆に損をしてしまう可能性がありますから。
たとえば5,000万円の物件があったとして、交渉次第では4,800万円になっていたかもしれません。また、購入後にトラブルが発生した場合、誰が味方になってくれるでしょうか。
つまり一生に一度の買い物で、お客様に後悔させないためにも私たち「街の不動産屋」の存在が必要なのです。
ですが、お客様も良い不動産屋さんに出会えるとは限りませんよね?
その通りです。だからこそ、これからの不動産業者は今まで以上に地域に溶け込んでいかないといけないと思っています。
困ったことがあれば、「とりあえず蕪木に聞いてみよう」と地域の皆様に思ってもらえる、もっと言えば、世間話だけしに来てくれる。そんな存在になることができれば、身近で信頼できる「街の不動産屋」としてご家族やご友人をご紹介していただくケースも増えていくと思います。
たとえるなら町医者のような存在でしょうか。これが今の私が目指す理想像であり、生きる道だと考えています。
毎年9月に盛大な縁日が催される名勝「長崎神社」
@dreamをご導入いただいた経緯について教えてください。
会社を始めるに当たり、まずホームページが必要だったので、不動産業者専用のデザインツールを探していました。@dreamを選んだのは、ローカルデータベースが気に入ったからです。
不動産業者にとって物件情報は生命線。これが外部のサーバーに保管されるとなると、人質を取られるのも同然です。何より大切な物件情報を手元に置いておけることが最大の魅力でした。
最近、クラウドが流行っていますが、ローカルデータベースはこの先も継続していただきたいです。おそらく、同じことを心配されているユーザーさんもおられるかと思いますのでぜひお願いします!
@dreamの導入を検討されている方におすすめできるポイントは?
エリアを絞って検索できる仕組みが整っていること、業者に頼まなくても自分で簡単にカスタマイズできること。そして、他のユーザーさんとの相互リンクを促進する「さらなり.net」がSEO対策に有効であること。
以上3つの点から、無駄なコストを抑えたいと思われている方や地域密着の不動産屋を目指されている方、また、これから不動産業を始める方にとってはうってつけのツールだと言えます。
ホームページでこだわったポイントについて教えてください。
10年前は、街の不動産屋は手作り感を出した方がいいなんてよく言われていましたが、今はキレイに整理されたデザインの方が何となく信頼できるイメージが持てますよね。ですから当社のホームページは、知り合いのデザイナーに頼んでできる限り見栄え良くしたつもりです。
コンテンツとしては、地域トピックスを伝える「椎名町周辺情報ブログ」のほかに、「街ナビ」を作り、エリアごとの病院や施設、スーパーや景勝地などを紹介しています。メインビジュアルに映画の予告編のようなスライドを当て込んでいるのがこだわりのポイントですので、ぜひご覧ください!
御社にとってホームページはどのような存在ですか?
先ほども申し上げた通り、IT化が進む時代だからこそ、私たち不動産業者はリアルな日常を大切にするべきだと考えています。自分たちの目で現場を見て、自分たちの耳でお客様の話を聞く。不動産業者が誰よりも汗をかいて行動していくことこそが、地域の方々の幸せにつながり、ひいては街の活性化にも貢献できるのではないでしょうか。
だからホームページは名刺代わりに思っているくらいがちょうどいいかもしれません。@dreamにも素晴らしい機能は搭載されていますが、お客様や地域の期待に応えていくためには、やはり最後は自分たちの行動が一番大切だと考えています。そうした意識を忘れてしまえば、ホームページは嘘だらけになってしまいます。
街の歴史とにぎわいがスライドとともに
動的に紹介されていく「街ナビ」
本当に人と人のつながりを大切にされているのですね。
そうですね。私自身、これまで人に助けられてばかりでしたから。 以前勤めていた会社は私の独立を応援してくれて今でも深いお付き合いをさせていただいていますし、当時お世話になった上司なんかは「何かあればすぐに蕪木のところへ行け!」と社内中に私の名刺を配ってくださいました。
そんな経験があったからこそ、私は人に対して不義理な行いは絶対しないように心がけてきましたし、目先の利益にとらわれず人の幸せだけを見つめてこられました。
地域への思いをお聞かせください。
私自身は隣の練馬区の生まれですが、ここ椎名町は祖父の代から蕪木家にとってたいへん縁深い土地です。近くの神社で開かれるお祭りは子供の頃から楽しみにしていましたし、青春時代を過ごした立教大学も徒歩圏内にあります。
先日、あるセミナーでこんな話を聞きました。「アメリカには人生を幸せにしてくれる3人のパートナーがいる。弁護士、税理士、そして不動産屋」。その場では「本当か?」と思ってしまいましたが、何かと相談に来てくださる地域の人たちと触れ合っていくたびに、自分がこの街で頼られている存在になれていることを実感できるようになりました。
不動産屋がテナントを預かり、そこに地域の人たちが喜んでくれるお店を誘致してく。新しい人の流れを生み出し、笑顔の輪が広がっていく。こうした循環を築いていくことそこが、地域にとっての不動産屋の役割であると改めて思いました。
現在の展望についてお聞かせください。
このまま少子化が進んでいけば、空き家や空き地が増え、不動産屋は街に一つや二つあれば事足りるようになっていくでしょう。ですから「ここ椎名町は私が担っていく!」、そんな意気込みでこれからもお客様の幸せと地域の発展に貢献していきたいと考えています。
椎名町は、あの手塚治虫氏が
才能ある漫画家たちを集めて暮らした
「トキワ荘」がある街として知られています
会社名 | 有限会社蕪樹地所 |
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住所 | 〒171-0051 東京都豊島区長崎1-18-7(サンロード商店街内) |
TEL | 03-5964-9900 |
FAX | 03-5964-9911 |
お問合せ先 | info@kabujisyo.co.jp |
公式サイト | http://www.kabujisyo.co.jp |
インタビューを終えて
業種を問わずインターネットがビジネスの中心に据えられるようになった現代。そんな時代だからこそ、「人と人とのつながり」がますます重要になってきていることを、蕪木代表はご自身の経験から見出されました。創業当時に抱いていた大きな理想からは少し離れた道を進むことになりましたが、代わりに大切な何かを手できたことを、その穏やかな表情からうかがい知ることができました。常に自分以外の誰かを想っている蕪木代表の誠実なお人柄があるからこそ、たくさんの人が応援してくれ、また、頼りたくなるのでしょう。椎名町三代目は、誰よりも人の幸せと地域の発展を願う、温かくて優しい情熱を持つ方でした!
(取材・執筆 株式会社 物語ライティング)