大手不動産会社から独立したきっかけは？

伏見桃山駅前にある賃貸専門の不動産会社に10年ほど勤めていました。後半の5年間は、店長として経営や人事を任されていました。
賃貸事業のことがわかればわかるほど、会社のやり方に疑問を感じ始めました。
「時代遅れじゃないか」「自分ならこうするのに」と欲が出てきたんですね。
上司にアイデアを話してみたものの、大きな組織ですから、受け入れてもらえませんでした。
やりたいを貫こうと思ったら、自分で始めるしかなかったんです。

そこまでして、やりたかったこととは？

地域に根ざした仕事をし、地域に愛される会社をつくらねばならない。それこそが、これからの不動産業の形であり、不動産の本質だと考えています。
売り上げだけを重視する仕事をしている時代ではありません。
地域に住む、地域に住みたいと思う、お客様を本当の意味で大切にしなければならないと思っています。

独立当初のことを教えてください。

元の会社は京都と奈良の県境に位置する木津川市にあり、父はそこで建売住宅や戸建仲介等売買をメインとした不動産業を営んでいました。
長引く不況で経営を売買から賃貸へシフト。家主業を始めたわけです。
私が父の会社をそのまま引き継ぐ形で代表変更し、地元以上に詳しくなっていた桃山界隈のマンションの1室に拠点を移し「賃貸専門店ミナージュ」として、再出発しました。

お父様の会社を引き継いだとはいえ、1からの出発ですね。

軌道に乗るまでは大変でした。給料がでない月が何回あったかわかりません。
あてにしていたマンション管理の仕事も、前の会社でお世話になっていた家主さんからは「知っていると思うけど、うちは○○（前の会社）に任せているから」と断られました。
一番、つらかったのは、やる気はあるのに、毎日何をしていいかわからないという状態でした。
誰も来ない、電話も鳴らない部屋に閉じこもり、ただ時間だけが過ぎていく。「何かを変えないと、一生このままやな」と思いつつ、一歩も踏み出せないでいました。

どん底からはいあがるきっかけとなったのは？

マンション管理の契約をいただいた建物の1階に倉庫の空きがあったので改装し、事務所を移転したことでしょうか。
路面店になったため、通りすがりにいろんな業種の営業マンが訪ねてきます。
「これからはホームページで営業したい」と考えていた矢先に、キヤノンシステムアンドサポートさんがコピー機の営業にみえました。
このとき何の気なしに「ホームページをつくりたい」と相談したら、すぐに＠dreamを紹介してくれました。今、思うと運命的な出会いですよね。

＠dream導入を決めたのは？

自分で情報整理できる限界、これが自店駅３駅周り１５分圏内。物件数、約1000戸。
これを反映させるには、＠dreamがピッタリでした。しかし、金額もはるし、本当に使いこなせるのか不安でした。
そんなとき宮崎の「シガレットホーム」さんのホームページを紹介されてびっくり。
お一人の経営で、不動産激戦区なのに、地元の大学生の3分の1がそこで契約していると聞きました。
この事実に背中を押され、導入を決意しました。

導入後、何が変わりましたか？

いちばん嬉しかったのは、毎日することができたことです（笑）。
賃貸物件の棚卸し、物件の写真撮影に走り回っていました。
もともとマメな性格の私にホームページづくりが合っていたのか、やればやるほど元気が出てきました。
＠dreamのいいところは、ＳＥＯの強さ。「京都市　賃貸」で検索すれば必ず1ページ目にきます。個人経営ではなかなか実現できません。

ホームページで工夫されている点は？

お客様の求めている物件に最短でいけるように、コンテンツ（物件種別）をたくさんつくり、ＳＥＯに効果的な文言を入れるようにしています。
「家賃から探す」「学校名から検索」「ペット飼育」「敷金礼金なし」はもちろん、「モテ部屋」「福祉受給者・生活保護歓迎物件」など特殊なページもつくり、いろんなお客様がたどり着けるように工夫を凝らしました。

物件の更新も頻繁になさっているのでは？

１日３回は更新しています。物件の有無を反映させているスピードは、たぶんこの界隈を扱う同業者の中では一番だと自負しています。
昨今、お部屋探しのスパンは長く、半年以上かけて探す方も。そんな場合、決まるまで毎日ご覧になっている場合がありますので毎日更新は欠かせません。

あれ？コメント欄、こんなこと書いていいんですか？

「日当たりが悪い」「共用部分がきたない」「窓をあけたら電車の音がうるさい」などデメリットについても正直に書きますよ。
契約したら終わりでなく実際に住んでもらって「ミナージュに頼んでよかった」と感じてもらいたいからです。
実物とのギャップをどれだけ埋められるかに挑戦する毎日、妥協はしません。

ホームページは誠実な営業マンなんですね

パソコンの「パ」の字も知りませんでしたが、＠dreamで思ったことを反映していくうちに、血が通い始めたというか、一体化してきました。
私の代わりに、ホームページがしゃべってくれます。
どの不動産会社のホームページにも同じ物件が掲載される中で、ミナージュを選んでいただこうと思えば、そうした特色を出さなければなりません。

ズバリ、強みは？

桃山、丹波橋、中書島の3駅周辺のマンション物件を99%把握していること。ホームぺージに掲載しているのは500棟前後ですが、実際には1000棟近く存在しています。そのすべてが頭に入っています。ここは当社、最大の強みですので、営業で必ずお伝えします。 

どうしてこの3駅を選ばれたんですか？

伏見区で一番人気があります。3沿線が使え、駅前に商店街があり、身近に観光地もある。
なにより先述したようにサラリーマン時代をこの地域で過ごしたから知らないとこが無いからですね。
独立する前から、この地域で勝負しようと決めていました。

見込みのある地域を確実に押えていらっしゃるのですね

地図を見て「このマンションは？」とお客様に聞かれたら「何階と何階が空いています」と即座に答えられます。
目かくしされても、地域を全部まわることができますよ（笑）。
おかげさまで、一度おみえになったお客様が、ほかの不動産屋で契約されることはありません。当社にほとんど網羅されているからです。

お客様はどんな方が多いですか？

30歳前後を中心に幅広い年代層の方がいらっしゃいます。
地元の方と他県の方と半々ぐらい。北海道から沖縄まで全国から引っ越してくる人も少なくありません。

お客様と接する上で意識しているのは？

最初は、物件の希望ではなく、お客様のライフスタイルについてお聞きしています。
お客様がネットで探された物件と実物の印象がちがうことは少なくないですし、初めて住宅を借りる方の場合は、正しい住宅の選びかたを少しご説明差し上げねばなりません。
生活費の大部分をしめる家賃ですからもっと慎重に選んでいただきたいのです。

具体的にはどんな話を？

お仕事、職場のある場所、休日の過ごし方、毎日料理するのかどうか、どんな生活がしたいなどです。
ご自分の希望があいまいな方の場合は「無印の家具好きですか？」「ソファーを置きたいですか？」など具体的に質問します。
私には、物件の図面が頭に入っているので、即座に部屋のレイアウトが頭の中でシミュレーションできます。

話をして希望条件が変わることもあるのでは？

ありますね。手取りの給料から、電気代、ガス代、化粧品代、携帯電話代、飲み代などを差し引いて「そのお家賃で大丈夫ですか？」とお聞きすると、しばらくお考えになって最終的には、6万円で探していた人が4.5万円に変更になった方もいます。 

手数料のことを考えたら、家賃が高い方に変更される方が得なのでは？

それは旧来のやり方です。お客様にとって最もふさわしい物件を案内し、信頼を得て一生つきあっていく、それが私のやり方なんです。
そのためには、お部屋選びのコンサルタントやご意見番である必要があります。

成約のときの対応は？

お客様が案内した物件を気に入られていても、即決はいただかないようにしています。
「いつごろお返事いただけそうですか？」という話しも、催促の電話も一切せず「わからないことがあれば連絡くださいね」といいます。
ただし「ご縁の問題なので、なくなってしまうかもしれませんがそのときは、お許しください」と伝えておきます。
この地域を望まれる限り、よその不動産会社に頼まれることはありませんから、余裕があります。納得のいくまでおつきあいしたいですね。

今の店舗は引っ越されたばかり、きれいですね。

創業から丸3年がたち、おかげさまで、そこそこの売り上げが見込めるようになりました（笑）。
ここでワンステップしようと駅前に移転を決意しました。そこを改装し、今までとちがう形態で仕事をしてみようと思って。

改装のポイントは？

これまでの店舗では、テーブルがひとつしかおけず、一人のお客様に対応しているとき、もう一人いらっしゃったら、帰っていただかなければなりませんでした。
今回は、4つのブースをつくり、圧倒的に多い女性客に好感をもっていただけるよう、清潔感があって、落ち着いていて話のできるスペースを設置しました。
リビングルームのような空間を目指しています。

カフェのように可愛らしいですね

改装のもう一つの理由は、家主さんがいらっしゃったとき、「こんな風にリフォームしたい」と思っていただきたいからです。
ミナージュでは、依頼があればデザイン性の高いリフォームも請け負っています。

スタッフもいらっしゃるんですか？

今回初めて雇いました。2人いるのですが実は、元お客様なんです。
細かい説明はしなくとも、私のやり方を理解してくれるので、助かっています。

振り返って思うことは？

小さい頃は「あかんたれ」でいじめられっ子でした。「人にどう思われているか」をすごく気にするし、小さいことも気になる完璧主義でもありました。
それらは全部、自分の弱みだと思っていたんです。ところが、この仕事に就いて、その性格が長所となって活かされていると感じるのです。お客様が今どう思っていらっしゃるかよくわかるし、その人にとって限りなく100点に近いサービスを考えて動きますから。

弱みが強みに変わった転機があったんですか？

前の会社で、営業マンとしてトップの成績がとれたことかな。
人生初めての1番でした。それと人の上に立つ機会を与えていただいたことで、自信がでてきたんだと思います。
＠dreamを導入してからは「マメさ」「完璧主義」を大いに発揮させてます。

お客様と一生つきあうなら将来的に売買も視野にいれているんですか？

売買の方が1件売れただけで売り上げはグンと上がります。
でもそれより、私は取引量が多い方が楽しいんです。いろんな人と出会いたいから。
ワンルームの一人暮らしから、結婚、出産と購入まで一貫してお世話させていただきたい。不動産と言えば「ミナージュにまかせよう」と思って下されば幸いです。

これからの夢は？

大きな夢より、日々の出会いを大切にしたいと思っています。
「人間は出会った人の数に比例して成長する」のが私の持論。おかげさまで、年々、クチコミと紹介でお客様は増えています。
私のお客さんだけで商売できるぐらいまで、この地域で信頼できる確かなつながりを紡いでいきたいと思っています。