製品導入事例/バックナンバー
第88回は、愛知県豊明市の「豊商住宅株式会社」様です。
同社の冨田廣司社長は、32年前にこの場所で創業し、以来ひと筋に不動産業を営んで来られました。
初めは自分ひとりだったスタッフも、今では5人に。豊明市をはじめ、隣接する名古屋市緑区や大府市、東郷町をエリアとし、自社企画の建売分譲の販売や仲介業を行い、地元にしっかりと根付いた存在として頼りにされています。
冨田社長に、不動産業の魅力や自身のこだわり、ソフトウエア「@dream」を利用した営業についてなど、幅広くお話をお聞きしました。
豊商住宅の創業者である、 冨田廣司社長
公式サイト | http://www.hosho-j.com/ |
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所在地 |
名鉄名古屋本線前後駅より徒歩20分 地図はこちら |
取材日 | 2013年7月2日 |
お父様も不動産業を営まれていたそうですね。
はい、父親が名古屋市緑区で不動産屋を経営していました。
私は男2人の兄弟でしたが、私は不動産業にあまり興味はなく、大学卒業後、百貨店に就職しました。店舗でのお客様対応が仕事で、ハンカチを売ったりタバコ関連品を売ったりしましたよ。それなりにやりがいも感じていて、このまま働き続けていくと思っていましたね。
それがなぜ、お父様と同じ業界に入ることになったのでしょう。
百貨店で働き始めて3年のころ、父親が急逝したんです。本当に急だったので、対応中のお客様も数多くいました。「このまま店を閉めてしまっては申し訳ない」と、まず兄がその不動産屋を引き継ぐことに。「お前、宅建持っていたよな」と言われ、私も手伝うことになりました。宅建の資格は、学生時代に一応取っておいたんです。こんな風に役立つことになるとは、思ってもみませんでした。
それから2年、早い時期に独立されたんですね。
兄のところで不動産業に携わり始め、すぐにこの仕事の魅力に気づきました。「自分で企画ができて、儲けもついてくる。どうせなら自分で1からやった方が面白いだろう」と思い、早々に独立しました。それがこの、「豊商住宅」です。
豊明市は、父から兄へと引き継いだ不動産屋のある名古屋市緑区と隣接しており、近くに大きな団地がありました。「この団地の人たちへ一戸建ての購入を提案していこう」と考え、ここに店を構えることにしました。今から32年前のことです。
店舗は名鉄前後駅から北東へ まっすぐ進む道沿いにある
独立当初は、どんな様子でしたか。
まずは「豊明のまちで一生商いをしていく!」と覚悟を決めて、社名を「豊商住宅」としました。
社員は私1人。実際、何の人脈もないですからね。地元の方々に知ってもらうことから始めようと、この店舗でバザーをしたり、大工さんに作ってもらったまな板の販売会をやったりしました。そしてその売り上げを社会福祉協議会に寄付。すると市報の寄付者のところに名前が載るでしょ。そうやってまず「怪しいものではありません」というアピールから始めました。
その甲斐あってか、徐々にお客様は増えていきましたね。
「こんな不動産屋になろう」というイメージはあったのですか。
「自社で建てた建売分譲住宅を売れる不動産屋になろう」と考えていましたね。今、一般的に「不動産屋」というと「仲介業」というイメージではないですか?土地や中古住宅、マンションなどを販売する……。建売分譲にしても、どこかの大きな建売業者が建てたものを、不動産屋で扱っていますよね。
私がやろうとしたのは少し違います。自社で土地を購入し、そこをいくつかに区切って地元の大工さんに家を建ててもらう。地域柄や年齢層などを考えながら、家の間取り図も自分で引くんです。そうして建てた家が売れた時の喜びはすごいですよ。不動産屋と設計士と工務店を、全部自分のところでやったようなものですから。
店舗入口。
スタッフのお母様がお花の手入れを
「自社による建売分譲住宅の販売」という不動産業は、うまくいきましたか。
狙いは当たりました。豊明の団地に住む方々が、よく購入してくれました。建てれば売れる、という順調なスタートでしたね。ただそれは、時代の後押しも大きかったと思います。
やがてバブルが崩壊し、少子化が進み、インターネットが発達してくると、これまでのように「建売分譲住宅を作る→チラシをまく→お客様が来てくれる→自社の建売の良さを丁寧に説明する→購入」と、すんなり流れてはいかなくなりました。
何が変わってきたのでしょう。
ひとことで言うなら、お客様の知識量が増え、「自分らしい住まい」へのニーズが高くなりましたね。
普段、当店を訪れるお客様は、結婚して子どもが生まれて……という30代前半のご夫婦が多いのですが、来店のきっかけを「ネットで見て……」とおっしゃる方がかなり増えました。まずネット検索をして、「この家が良い」と、ある程度希望をもって来店されます。私たちも、ネットでどんなPRができるかが、勝負を大きく分けると感じざるを得ません。
スタッフの岩田典子さんが作った作品たちが、温かい雰囲気を演出
ずっと@dreamの導入を断ってきたとお聞きしましたが。
そうですね。私は結構新しもの好きなので、インターネットの導入や、ホームページの立ち上げは、業界でもかなり早い方だったと思います。事務机1台分の大きさのファクスを早々に購入したくらいですから。あれはうるさかったなぁ(笑)。
だから、ずいぶん前から、キヤノンシステムアンドサポートさんから@dreamの導入は提案されて気にしてはいたんです。でもずっと断っていました。建売住宅の販売を業務としていたので、件数はさほど多くない。だから入れても無駄だと思っていたのです。
それが約2年半前に導入。何がきっかけとなったのですか。
事業の方向転換を図ったことです。建売だけではこの先、やっていけないのではと感じるようになり、仲介業にも力を入れることになりました。そうなると他の不動産屋さんと勝負する時、「掲載件数の多さ」は絶対に必要になる。だったら、多くの情報を上手に整理して入力でき、お客様に分かりやすいように掲載できる@dreamのシステムを入れようじゃないか、ということになったんです。
仕入れた物件情報は、なるべくその日のうちにアップするようにし、今では常時、500件程度の物件が検索できるようになっています。
親しみやすく柔らかな雰囲気を意識した、豊商住宅様のホームページ
@dreamを導入してみて、使い勝手はいかがですか。
実際に使っているスタッフの皆さんにお聞きしてみましょう。
入力作業は、吉原さんですね。
はい。@dreamは、写真がたくさん入れられるのがとても良いですね。これまでの自社ホームページでは、容量の関係で、写真をあまり載せられなかったんです。遠方に住まわれていたり、忙しくてなかなか来られなかったりと、現地に行けない方にとっては、これでずいぶん検討しやすくなったと思います。
@dreamの導入は、費用をかけただけの成果があったと思いますか。
2年半ではまだ何とも言えません。ただ、日々アクセス数を記録しているのですが、@dreamを入れてから、毎日のアクセス数が倍になりましたよ。これはすごいことだと思います。そのうち、新規が3割、リピーターが7割です。リピーターが多いのは、お客様が弊社のホームページを見やすいと感じ、物件検索のレギュラーとして使ってくださっている証だと思います。これも@dreamにした成果が出ているのではないでしょうか。
つづいて、営業を担当されている、冨田さんと片山さん。
どんな風に@dreamを活用されていますか。
一度接点のあったお客様に、定期的に物件案内をするために使っています。@dreamを導入する前は、電話や郵送で行っていたのですが、もっと頻度を上げて、メールで行えるようになりました。
その手間が省けた分、お客様が来客された時にはしっかりハートを掴むトークができるよう、私たちが頑張らなくてはと思っています。
社長ご自身は、@dreamについて、どんな風に感じていらっしゃいますか。
常にお客様にホットな情報がお届けできるというのが、一番の魅力だと思いますね。何度か検索やメールでのやり取りを経て、お客様と友人のような関係で購入いただける流れが作れるのも、今の時代に合っていると思います。
@dreamはソフトですが、まるで生き物のようだと思うことがあります。常に食べ物(=物件情報)を与えてやらなければ、死んでしまう(=成果がでない、仕事が取れない)。だから私たちは、なるべく多くの食べ物を集めてきて、新鮮なうちに与えるように大事に飼育しています。そうすれば、必ず恩返ししてくれるはずです。
スタッフの吉原桂子さん。 長年会社を支えてきた、頼りになる存在
営業スタッフの冨田義貴さん(右)と 片山浩さん(左)
ホームページで物件紹介をしていくうえで、工夫されているのはどんなところですか。
各物件をクリックすると出てくる「Webコメント欄」の充実ですね。物件1つ1つを、私が見に行って写真を撮り、良い点だけに限らず書くようにしています。
最近では、物件ごとに「オススメ度」を★1~5つで表すようにもしました。
「土地の高低差あり」とか「交通量多め」などは、物件の価値を上げるような情報ではないですが、「とにかく買ってもらう」ではなく「納得のいく買い物をしていただく」ことを目指して、できるだけ詳しく書いています。
いろんなツールを積極的に利用されていますね。
TwitterにFacebook、ブログなど、できることは何でもやっていこうと取り組んでいます。最近ではYou Tubeに物件の動画を載せたり、スマートフォン対応のページを作ったりもしました。
でも、隠れたエースは「ブログ」でしょうね。スタッフが当番制にして、毎日欠かさず更新しています。内容は家に関することは2割ぐらいで、あとは日々の自分話。毎回ネタを考えるのはけっこう大変だと思いますが、頑張って続けてくれています。楽しみに読んでいただきながら、親しみを感じてもらえるといいなと思っています。
季節ネタも多く楽しさが感じられる
スタッフブログ
30年以上、不動産業を営んできて、どんなところに魅力を感じていますか。
不動産業は、お客様の財産を預かること。それはつまり、お客様の一生を預かるようなものです。大きな買い物だけど、お客様にとっては1回きりのことが多く、十分な知識や経験を持ち合わせていらっしゃらない。そこに寄り添い、一生の住まいを決めるお手伝いができることには、責任の大きさとともに喜びを感じますね。
実はこの仕事を始めたころは「売れる建物なら何でも良い」なんて考えていたこともあるんです。でも今は、「住む人が幸せになれる家」を、つくる側としても紹介する側としても、追求したいと思っています。弊社で建てる分譲住宅は、「機能が良くて快適に暮らせ、長く住み続けられる家」を目指しています。建売だからといって、安いかどうかだけで決めてほしくはないですからね。
浮き沈みの激しい業界で、30年以上続いてきたのは素晴らしいですね。
そうですね、やはり小さいところほど弱いので、閉めていく不動産屋さんも見てきました。なぜ続いてきたかといえば、やはり徹底して地元に密着してきたことではないでしょうか。もともと地縁が無い中でのスタートでしたから、商工会や発展会などいろんな団体に入り、活動してきました。
あとは私が多趣味なのも良かったのかも。釣り仲間が、立て続けに5人もお客さんを紹介してくれたこともあるし、伺ったお宅に飾ってあったお花の話で奥様と盛り上がり購入に至ったり。子どもさんと収集切手を見せ合って「あのおじさんのお店がいい」と、弊社で買っていただくことになったり。そういう意味では、人生のすべてが生きる仕事なのかもしれませんね。
店舗に掲げられた「笑顔」の2文字は 「商売の基本!」と冨田社長
息子さんが継がれる予定だそうですね。
はい、息子(義貴さん)は今は営業スタッフとして勉強の日々です。一人前になったら私は引退しようかと思っていますが、まだまだそうはいきませんね。息子たちはネット世代ですから、@dreamも含め「情報を整理する」という面ではさまざまなツールを、私よりもうまく使いこなしていくでしょう。
一方、その影響でお客様との密なつながりをもつのが難しくなったのも事実です。「あなたから買いたい」、お客様にそういっていただけるにはどうすれば良いのか、そこを一生懸命に考えて、頑張っていって欲しいですね。
この先、息子さん世代に継いでいってほしい思いは。
「当たり前のことを当たり前に」です。これは、私が東京で、建築の勉強会に参加していた時、講師の方からいただいた言葉です。
「こんなにやっていてすごいだろう、ではない。ただ普通に、当たり前にやるべきことをやっているだけ。それができていないのであれば、その方がおかしい、恥ずべきことだ」、そういう意識をもって仕事に取り組んでほしいですね。そうすれば、おごって一点にとどまるようなことはなく、お客様に愛されながら、常に進化していけるのではないかと思います。
全員揃って。
社長とスタッフのチームワークは抜群!
笑顔がかわいらしい、
同店の キャラクター「スマイルくん」
会社名 | 豊商住宅株式会社 |
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住所 | 〒470-1131 愛知県豊明市二村台2-19-26 |
TEL | 0562-93-1839 |
FAX | 0562-93-1840 |
お問合せ先 | home@hosho-j.com |
公式サイト | http://www.hosho-j.com/ |
インタビューを終えて
愛知県豊明市で店を構えて32年。「自社企画の建売分譲住宅」を中心にしながらも、時代とともに必要な事業やツールを柔軟に取り入れ、地元密着店でありつづけるその姿には、「地域のお客様に納得のいく家を」という冨田社長の強い気持ちを感じました。今後は息子さんをはじめ、業界の若手を育てていきたいと考えているそうです。冨田社長のように「当たり前のことを当たり前に」できる人材が育っていくのが楽しみですね。
(取材、撮影、編集、文章 : 物語ライティング )